中国語学習のためになるNEWS!
詩はふだん意識していない心に通路を開くこともある。
「もある」つて、どういうこと?そうじゃないのもあるっていいたいのでしょうか?あるね。
いいにくいが、わたしもあまりしっかりと詩を定義づけないまま、今まで来たんだ。
えっ。
じゃあ、どうやって詩を教えてきたんですか?うん。
そのつど、そのつど、この詩は、評論や小説やその他の文章表現とどう違うんだろうって考えながら、思いついたことを話してきた。
なんか、いいかげんな話ですね。
で、どんな詩にも共通するところはなかったのでしょうか?今からいうようないい方で、わかってもらえるかどうか不安だが……。
詩は、日常の言葉を使いながら、日常の言葉の世界から別世界に、われわれの心を運ぶ乗りもののようなところがあるように思う。
たとえば、さっきのは、無意識、潜在意識の世界だし……。
ときには、意味の世界を抜け出て、音の世界やニュアンスの世界で遊ぶこともある。
日頃、思いもしない言葉の組み合わせで別の意味の世界に誘い込むこともある。
いつもは口にできない「叫び」のようなものを表現することもある……。
よくわかりました。
ええっと‥ぼくが詩を嫌ってきた理由が、ですよ。
それだけ、いろいろなものが詩に含まれていることが、詩をわかりにくくしていたんですね。
わからないものは、好きになりようかおりませんから。
詩を、ただ「わからないもの」として切り捨ててほしくはないんだが……。
詩は日常的な感情より少し、心の奥の方にあるものの表現だと思う。
だから、頭でわかったり、日常的な感情のレベルで受け取ったりすることは、たしかにむずかしいことではあると思う。
でも、詩でしか表現できないことがあると思うんだ。
それは、なんとなくぼくにもわかります。
詩は心の奥からの表現だからこそ、普遍性をもつこともある。
心の奥には、だれもが同じようなものがあるということだね。
だから、その部分で感じられるかどうかが大切なのかもしれない。
こころの奥にあるものを、いろいろな邪魔の入らの科目は大切なんだと思ってえてみるといいよ。
いる。
詩についても、今いったことと関連づけて考考えてみます。
詩のことだけじゃなくて、わからないことがあったら、またのところへ来ますから、つき合ってくださいね。
お願いします。
ずいぶん話したようにも思うが、すべてを話しつくしたわけじゃないし、わからないことも出てくるだろう。
そのときは、また来るといい。
随筆とは何か。
こんにちは!また、来ました。
質問があるのですが、時間ありますか?かまわないよ。
あれから、ちょうど一週間か。
近頃、だいぶ国語に入れこんでいるね。
ええ、評論・小説・詩についていろいろ聞いて、少し違った目で文章を見ることができるようになりました。
そこで質問なんですが、この文章は何でしょう。
小説ではなさそうだし、かといって評論というのとも違うように思うのですが……。
どんな文章だろう。
ちょっと見せてくれるかな。
子供のころ、よく父に手を引かれて銭湯へ行った。
二十数年前の、夜がちゃんと夜の色をしていた時代のことである。
濡れた髪と湯気のあがっている体とを夜風になぶらせながら、とぼとぼ家路を帰っていると、いつもきまったように、点滅する赤い灯が漆黒の空を横ぎっていく。
「飛行機や」と私か叫ぶと、父はしごく真面目な顔で、「ちがう、あれは流れ星や」と答える。
私はむきになって夜空を指差し、「お父ちゃん、あれは飛行機やでエ」と言ってみる。
つまりそこまでが序文で、父はおもむろに遠去かっていく飛行機の灯りを見つめつつ、いつものお得意の話を始めてくれるのである。
「あれはな、飛行機なんかやおらへん。
あれは流れ星や。
光とおんなじ速さで飛んでいっても何百億年もかかるほど遠いところから、星のかけらが飛んできて、いまちょうど頭の上を通っていくんや」幼い私は、たちまち何百億年という時間の凄さに我を忘れ、これまで飽きるほど聞7かされた父の話を、またたまらなく聞いてみたい衝動に駆られてしまうのだった。
父は宇宙という無限の空間と時間を語り、人間の限られた寿命のはかなさを教えてくれる。
「おまえもこれから大きなって、そのうちおっさんになり、あっというまに爺さんになって、ほんでから必ず死ぬんや」「……死んだら、どないなるのん?」「死んだらどないなるのんか、それが知りとうて、昔、中国から印度へ仏教を習いに行きはった人がおるんや」父お得意の西遊記は、必ずこれだけの枕が必要なのであった。
父は玄奘三蔵と、孫悟空、猪八戒、沙悟浄の三人の家来が、さまざまな妖怪や魔物と戦いつつ、ついに経典を得て帰還する話を語り終えると、熱っぽい目を私に注いで、こうつけくわえた。
「そやけど、この話は全部嘘や。
でたらめのこんこんちきや。
孫悟空とか猪八戒とか沙悟浄なんて実際にはおれへんかった。
玄奘法師は一人で馬に乗って印度まで行きはった。
無事に帰れるかどうか判らん命懸けの長旅を、たった一人で出かけはった。
教えのためには命を張るほどに賢こい勇気のある玄奘法師も、猿とか豚とか得体の知れんお化けみたいな心を、自分の中に持ってはったというたとえ話や」「……ふうん、お父ちゃん、ほんで死んだらどないなるのん?」「死んだら、……さあ、どないなるんやろな。
?」父と私は夜空に消えた飛行機のあとをぼんやり追いながら、またとぼとぼ家路をたどり始めるのだった。
父は十年前、七十歳で死んだ。
幾つかの事業に敗れ、不遇の晩年だった。
冷たくなった父と一緒に、私は病院の一室で夜を明かした。
父の死を親戚の者たちにしらせるため母は電話をかけにいき、ために私はしばらくの間父とふたりきりになってしまった。
病室の窓から星座が見え、どこからか虫の羽音が響いていた。
かつて父の語った西遊記の、賢者聖人すら隠し持っているけだものの心の意味が、幾らかは理解できる年齢に達していた私は、不思議な思いで、死んでいる父を見ていた。
「死んだら、……さあ、どないなるんやろなア?」と夜空を見あげていた父のありし日のおもかげが、妙に生々しく思い出された。
いま父は、その秘密を知った筈であった。
私は落ち着かない思いで、横だわっている父から視線を外し、窓辺にたたずんで夜空を見やった。
死への言い知れぬ恐怖が、私を落ちつかなくさせていたのである。
自分の体験のようだし、こんな小説はないですよね。
こういう種類の文章は何ていうのですか?聞いたことあるんじゃないのかな。
ズイヒツとか、エッセイとかいうんだけど。
記憶のかたすみにひっかかっているようにも思います。
ズイヒツつて、どんな字を書くんでした。
ズイヒツのヒツは筆という字、ズイの方は、夫唱婦随のズイだ。
えっ、なんですか、そりゃ‥よけいわからなくなるじゃないですか。
夫唱婦随っていうのはだな……。
やめてくださいよ。
そんなカビの生えたような言葉の説明はいいから、ズイという字だけここに書いてもらえませんか。
こういう字だ。
この随という字の意味はわかるかな。
わかりません。
今までその字を使う熟語を目にしたことがあったかなあ。
教えてくださいよ。
たしかによく使われる字ではないかな。
でも、めったに見ないというほどでもない。
たとえば、随行するとか、古文で「随身」とか……。
かんべんしてください。
ストレートに教えてください。
よけいわからなくなってしまいます。
ごめん、ごめん。
「したがう」という意味になるんだ。
だから、随筆というのは、筆に随って書いた文章ということになる。
同じ意味の随想というのは、想いに随ってということになる。
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